第9章 冤罪
「………。」
「そうやって黙っててもいいが、お前が不利になるだけだぞ。」
髭面の男が言った。
この前の男だ。
「これで、極使天馬も終わりだな。」
ニヤニヤと目の前にいる彼を見ている。
「橋田!!テメェ!!」
誠也君は机を叩いた。
今は警察署の取り調べ室の中に彼は"橋田"という男と共にいた。
「どうした?殴ってもいいんだぞ?ほら殴れよ。」
挑発気味に彼に頬を差し出してくる。
「………っ。」
けれど、彼は殴らなかった。
拳を握ってじっと堪えている。
「そういや、あの女の子可愛かったな、彼女か?」
「……テメェに関係ねぇだろっ!!」
「まぁ、いいが。……何もねぇといいなぁ。」
再び橋田はニヤニヤと笑った。
「まさか…お前――。」
目を見開いて橋田を見る。
「どうだろうなぁ…。」
「テメェ!!グズ野郎が!!桜に手出したらぶっ殺す!!」
誠也君は橋田の胸ぐらを掴んだ。
「おーおー、俺に手出していいのかぁ?」
「……くそっ、クズが。」
「まぁ、あの子を助けるのもお前しだいだ。…この意味わかるな?」
「………わかったよ。」
橋田の言葉に彼は頷いた。