第58章 魔王と捕らわれ姫と裏切りとそして守る者
「あれ、桜ちゃんは?」
キョロキョロと藤崎は周りを見渡した。
「え?さっきからずっといねぇけど?」
三善が首を傾げて言った。
「おかしいな。トイレ行くって行って一時間以上経ってる。」
携帯で時間を確認しながら藤崎は考えていた。
―――いやな予感がする……と。
急いでゲームセンターのトイレへ向かう。
"きゃあぁぁああ"
女達が驚いていたが、気にせず彼女を探した。
しかし、いない。
コンビニも、思い当たる所は全て探した。
けれど、いくら探せども彼女は見つからなかった。
――親友と約束したのに―――
申し訳ない気持ちと不安が押し寄せてくる。
あわてて親友に電話をかけた。
「……え……。」
親友の言葉に思わず携帯を落とした。
「…俺の…せいだ――。」
彼は力が抜けたように地面に崩れ落ちた。
「どうしたんだよ?」
彼の異変に皆が近寄ってくる。
「桜ちゃんが……。」
「桜ちゃんがどうかしたのか?」
西村が彼の顔を除き混む。
「…豪龍会のヤクザに人質にとられた。」
藤崎はそう言うと唇を噛み締めた。
「……え……。」
皆が目を見開いた。
「俺のせいだぁああ!!」
藤崎の叫び声が辺りに響いた。