第1章 空気と同じ透明から
「次はシャンプーを、ここを押して手に出して、頭を洗います。
目に入ったら痛いですから、すぐに洗ってくださいね」
「これで本当に洗えるの…?」
片手に出したシャンプーはまだほとんど液体みたいで、不思議そうに反対の手でつついている清光。
確かに不思議ですね。
「こうやってたら泡立ちますよー」
手を擦り合わせて泡だらけに。
清光は自分もと泡を作るのを楽しんでいます。
「髪の毛も地肌もしっかり洗ってください。
洗い終わったら、シャワーでしっかり泡を流してくださいね」
わたしは勿論慣れているというか、当たり前の動作なのでもう終わりましたが、清光は手こずっているみたいです。
「あ、主~ちゃんと泡流れてるの?」
「初めてだったら難しいですよ。
今日はわたしが仕上げに流しますね。
目をちゃんと閉じて、痛かったら言ってください」
「ありがとう、ん」
きゅっと目を瞑ったのを確認して、髪の毛の泡を綺麗に、痛くないよう優しく洗い流していきます。
それにしても、綺麗な髪ですね。
蛇口を閉めて、お湯が止まったので元の場所に直します。
「もう大丈夫ですよ」
「うん、ありがとう主」
「どういたしまして」
わたしの方を向いた…と思ったら、何だか遠慮してるみたいに元の方を向いてしまいました。
「清光の髪、綺麗ですね」
「そ、そう?俺は主の髪の方が…かわいい色で、全然綺麗だと思うけど」
「そうですか?うーん…わたしはこの色、あんまり好きじゃない、です…」
肩をちょっと越えてるくらいのわたしの髪を人束、清光は手に取ってじっと見ている。
「わたし、日本人な筈だけど、別の国の人みたいでしょう?
目の色も茶色で、色の感じが薄いし…。
もっとこう、日本人ですって色がよかったです…」
金髪と言ってもいいくらいの茶髪。
ほぼ金髪です。
政府であった人…日本の人ばかりで、わたしとは違う色の人ばかりでした。
「そういうもんかなぁ…。
でも、俺は主の髪も目も好きだから、自信持っていいと思うよ?」
「えへへ、褒めてた筈なのに褒められちゃいましたー。
ありがとうございます。さ、続きしましょうか!」
それからコンディショナーとか、トリートメントとか、ボディソープの使い方とかを教えて、ゆっくり湯船で暖まったわたしたちはお風呂場を後にしました。