第7章 きょうだい 其の參
今日のお昼ご飯はお粥でした。
病人じゃないのに…と思いつつ食べましたよ。
「…っ」
ごくりと唾を飲み込みます。
ラスボス…強大な敵、薬です。
全員が兄弟部屋に集合して私の回りを囲んでいます。
薬研が悪魔の微笑みで私に薬を差し出しました。
案の定…それは粉でした。
「い、行きます…!」
みんなの緊張感がじりじり伝わってきます…なんて。
お茶の入ったコップを片手に、もう一方には薬(紙で包んでるあれですよ)。
わたしはええい!と一思いにざざざっと粉を流し込みました。
一瞬で口の中が苦味で…とかそういうのじゃなく、不味くて不味くてしょうがなくなります。
ごくごくと喉がからからに渇いた時の様にお茶を流し込みます。
「…っ、うぁ…ぇ…まず…」
皆笑っているのですが、薬研が一際大きな声で笑いました。
「よくやったぞ大将。口直しにほら、飴」
「勝手に取ったんですか、ご褒美用の飴」
「大将へのご褒美、だろ?」
実はこの飴達の入っている袋にはわたしがちゃんと、『ごほうびのあめ!かってにとるべからず!』と書いてあるのですよ。
「今回は目を瞑ってあげます…んん、甘い」
桃味でした。甘くておいしい!薬と大違い!
ころころと口内を転がして苦い味を上書きしていきます。
「ご飯も食べましたし、そろそろ自分の部屋に行った方がいいですよね。
いつまでもお布団借りっぱなしは…」
「えーっそんなの気にしなくていいのにぃ」
ここに居てよーという乱。
私はちょっと悩んでからやっぱり首を横に振ります。
「うっと…やっぱり自分の部屋に行きますね」
「そっかぁ残念。ほんとに、早くよくなってね」
ちょっと申し訳ないですけど…寝込んでる姿なんてあまり見られたくないですよね。
「それじゃあこれ下げちゃうね」
「はい、ご飯おいしかったです!」
笑いかけてくれた燭台切は私のご飯の後始末を受け持ってくれて先にリビングに行ってしまいました。
「俺っちは今日の夜の分の薬を取りに行ってくるから、誰か大将を部屋まで連れてってやれよー」
薬研もそれに続いて部屋を出ます。
「3人も付いていくのはね…ボクは料理のお手伝いに行ってこようかなぁ。
二人はあるじさんについててあげてよ」
ひらりと手を振って乱も出ていきました。
二人…清光と今剣は、何だか落ち込んでいるというか、纏う空気が暗いというか…。