第7章 きょうだい 其の參
何やら言い争っている…?
正直にいうと、かなり耳障りな口論が起きろ起きろと急かしてきます。
目を開けるて最初に見えたのは、この家の中のどこかの部屋の天井。
頭とか背中とかの下が柔らかいので、布団か何かに寝かされているのは確かだから、部屋の中…?
「あっ、あるじさんっ!」
乱がわたしが起きたのに気付きました。
わたしは体を起こそうとしたのですが、薬研に止められて、肩をゆっくり押されて逆戻り。
「大将、まだ寝ててくれ」
「でも…あの…一体何が…?」
わたしは確かリビングにいた筈ですが、ここは二人の…兄弟部屋ですよね。
因みに二人はわたしの頭の左右に、向かい合うように座っています。
「俺達出陣組はさっき帰ってきたところで詳しくは知らないんだがな。
帰って来てすぐ遠征組が大将抱えて玄関まで走ってきてなぁ…」
「どうして…?」
「顔面蒼白で汗だくで踞っていたんだとよ。
ちょっとの間意識はあったらしいがうんともすんとも答えてくれないまま、すぐ眠っちまって、そこに俺っち達が帰って来て…今に至る」
…倒れて、いたんでしょうか。
確かに今身体中汗でべたべたしているような気が。
「今は昼餉の準備と、汗を拭く手拭いの準備だなんだって駆け回ってるが、すぐ来るだろう」
「…ありがとう、ございます。
えへへーまた、倒れちゃったみたいですね」
「もー!笑い事じゃないんだからね?」
「乱もありがとうございます、ふふ」
わたしのために、そんなに心配してくれるなんて、嬉しすぎます。
「大将、気分が悪いとか頭が痛いのかあるか?」
「体は怠いですけど…それ以外は何も」
「それじゃあ一応熱計るか」
ぐっと身を乗り出そうとした薬研を乱が止めます。
「ちょっと待って今何をしようとしたの?」
「何って、熱を計ろうと…?」
「その計り方はダメでしょ!体温計とか使わないと!」
「でも場所知らないだろ?」
「もういい薬研は引っ込んでて。
あるじさん、おでこ触るね」
乱はわたしの前髪をよけて額に片手を乗せました。
「うー…ん。ちょっと熱いかも。
まだ体調良くなさそうだし、熱あるだろうね」
「…わー、き、のせいですよねぇ…。
病は気からと言いますから」
「残念だったな、大将。
この家の医務室は把握済みだ。
安心しろよ、きっとすぐ治るからな」
「えー…わ、たし、これから、何をされるのでしょう…?」