第5章 きょうだい 其の壹
それからはわたしはお世話をされまくりで…。
ご飯を食べ終えて、急かされるまま着替えを部屋に取りに行って、お風呂に入って、清光がどこから発見したのかドライヤーを持ってきて髪を乾かされて(昨日も使用したそうで説明書が付いていたそうです)、まだ9時にもなっていないというのにベッドの上ですよ。
「…暇です…」
暇です。とてつもなく暇です。ひたすら暇です。
体調がよろしくないと言いましても微熱があるかないかくらいですよ?
お風呂の鏡で自分の顔を見たとき、ちょっと顔色悪かったかもと思いましたけど…。
まだ薬研ともお喋りできてないです。
やり残しが多すぎます。
…そうだ!政府への報告書?とか、書いておきましょう!
どうせ誰も入ってこれないのなら起きててもバレません!
心配を裏切るようなことを思い付いたその時のわたしは、心配を裏切っていることにさえ気付かずに執務(かっこいい気がして言ってみたかったんです)を始めました。
書き終えました!
といっても、まだ書くことが少ないからだと思いますけどね。
これからここにどれだけの刀剣男士が集うのかとか、戦況とかがどうなるかもわかったものじゃないです。
人目に触れさせちゃあダメだなーと適当に棚の中にしまいます。
うーん、みんなもう寝てるのでしょうか?
今の時刻、午後11時48分。中途半端な。
もうすぐ明日がやって来ようとしています。
…喉が渇いて、飲み物を飲むくらいならいいのでは…?
起きていたいだけですが…飲み物を飲むのを言い訳にみんなが録画したテレビをわたしも見ることにしましょう。
わたしは心配されていたことさえ忘れたようにリビングに行きました。
冷たいお茶をちびちびと飲みながら、子供向けアニメを垂れ流します。
…何と言いますか…デジャヴ…?
何故かわかりませんが既視感が…ううーん。
頭の中で一人言だらけですねわたし。
30分程度のアニメの次回予告が終わると同時にコップの中のお茶を飲み干します。
「ぷはっ…あー…お喋りしたいです…」
「俺っちでよければ話し相手になるぜ?」
突然声をかけられてぴゃあっと声を上げてしまいます。
「薬研…!?ど、どうして…?」
「今日は疲れるようなこと何もしていないから、どうにも眠くならなくてな。
水でも飲むかと思って来たんだ。
大将は体調よくなかった筈だが…なんで起きてるんだ?」