第5章 きょうだい 其の壹
「ほんとお疲れ様ー。
主、俺達の為にすごく頑張ってくれてるよね」
清光がわたしの頭を撫でながら誉めてくれます。
「当たり前にするべきことと、後はわたしの自己満足なんですから。
労われるようなことは、まだ何もできてないです」
「ううん、当たり前のことをするのって、すごく難しいよ。
そんなに謙虚にしなくてもいいって」
「…うん…清光が、みんなが、そう言ってくれるなら…」
謙虚とか、そんなつもりはなかったのですけど。
兎に角誉められるの嬉しいです。
「きょうはいっしょにおふろ、はいれないですね」
「ごめんなさい。明日は一緒に…」
「ちょっと待って。もう使い方大丈夫でしょ。
下心しかないよね?」
「したごころ…?そんなもの、ないですよ?」
清光がすごく大きな溜め息を吐きながら机に突っ伏します。
「なぁにー?何の話してるの?」
乱達が下りてきました。
薬研の普段着?は、さっきまでかけてなかったのに眼鏡をかけていたり、白衣みたいなものを着ていたりして、お医者さんみたいですね。
「乱ちゃん!主の顔色がよくなくてさー」
「わっ、本当!無理してたの?」
あーうーもー大事じゃないのに、そんなに心配しなくても…。
といっても、それは心配されているからこその台詞なのですよね。
「わ、たしなんかのことよりっ、こちら、先程顕現しました薬研藤四郎です!
仲良くしましょうねー!」
「大将、話の変え方に無理しかないぞ」
きゅっと喉がつまるみたいになりました。
「俺っちに何となく医学の心得があるから、何か手助けできるかもしれないし、頼ってくれよ」
「は、い…お願いしまー…す…」
体調よりも心の調子の心配が欲しいです。
頼りないやつ扱いされ過ぎでは…。
「ごはんまでおとなしくすわっててくださいねー!
ぼくがちゃんとあるじさまのぶんをはこびますから!」
「今剣まで…そんな心配される程の大病じゃないですよ?」
「それは違うぞ。こういった少しの体調不良が悪化して大病になるんだ。
大将は今のうちにしっかり休むべきだ」
早速薬研からお叱りをもらっちゃったり…。
「っ…返す言葉がありません…。
今日は、大人しく眠る準備が終わり次第寝ます…」
自分よりも見た目は年下なのに…とてつもなく悔しいです…。
自分の柔な体を呪うしかないです…。