第4章 雪辱は必ず果たそうと
「あっるじさーん!」
パタパタと乱が走ってきました。
「遠征10分だけど、大丈夫?寂しくない?」
ぎゅっと抱き付いてわたしを見上げます。
「大丈夫です!
わたしはお握りを作りながら待っていますよ。
朝ご飯の残り分がかなりあったのですぐ作り始めて、たくさん作りますね!」
燭台切と清光も続いてやってきました。
「絶対に一人で火は使っちゃダメだよ。
慣れていないのに一人で使うのは危険だからね?
洗濯物は雨が降ったら取り込んで、掃除とかがしたくても高いところは無理にしなくていいよ、それから…」
「ちょ、ちょっ、ちょっと待ってください!
10分くらい経てば帰ってくるのに、そんな色々なことしたりしませんからね?」
これじゃあ心配性なお母さんが一泊二日の旅行に行くのにお留守番のちょっとおバカな娘が心配過ぎるみたいな…!って何ですこの例え。
「ごめんね?でもちょっと心配だからね…」
「…そこまでどんくさくないですよ?」
お母さん過ぎますよ燭台切…。
もーとか何とか言っていると、清光が近付いてきました。
「…主、俺もぎゅってしたい」
「甘えん坊さんですねーどうぞ!」
乱は正面からわたしに抱き付いて頭をぐりぐり押し付けたりしたままで、清光は後ろから抱きつきました。
「頑張る…」
「…はい、頑張ってください」
そして、誰が何を言った訳でもないですが、わたしから離れます。
「…こんのすけ、来れますか?」
ぽふっと小さい雲みたいな煙からこんのすけが現れます。
「遠征に行かれるんですね。
遠征へ行くにはいつもと違う方の、もう1つの門の方を使います。
説明はその場で行います」
「みんな…頑張ってきてくださいね!
いってらっしゃい!」
家を出ていくみんなに手を振って送り出します。
行ってくるねと笑ってくれたり、すぐ帰ってくるからと言ってくれたりしながらみんな家の外へ。
こんのすけが頭を下げて出ていき、背を向けると扉が閉まってしまいました。
「あ…」
ふらりとしてしまいそうになります。
出陣組はちゃんと以前作った刀装を持ってもらいましたし、わたしは待たなくちゃ。
部屋に飛んで帰って乱が選んでくれた服を着て、エプロンを着けて、キッチンまでダッシュです!
よし…お握り作り…開始です!