第4章 雪辱は必ず果たそうと
清光と別れて、一足先に玄関へ。
みんなが出かけてる間に着替えようと思います。
そうだ、その間に鍛刀してもいいですね。
みんな仲良しの人がいるらしいし…ささやかな恩返しとして、早く会わせてあげたいです。
後はえっと…ご飯の用意?
お握りくらいなら、作れますよね。
変にお料理を頑張って量が足りなかったら困りますし、ふりかけをまぜれば色んな味が作れます。
足りなくなったら簡単に作り足せますし。
お腹すいて帰ってくるなら、すぐ食べられる方がいいですよね。
「じゅんびできましたよー!」
「今剣!」
一番に来たのは今剣。
紐とかも全部ばっちりですね!
「普段はかわいらしいですけど、戦う時はびしっとしててかっこいいですね!」
「そうですかー?ありがとうございます」
何でもない風にしたいのでしょうが照れて嬉しそうなのがわかってやっぱりかわいいです。
「あるじさま、ちょっとかがんでください」
「…はい?」
どうかしたんでしょうか?
「あるじさまは、ぼくらがかえってきたら、おかえりなさいといってくれるだけでいいんですよ。
ぼくらは、あなたのかたなですよ。
あるじさまがしんじていてくれさえすれば、…なんだってできます」
わたしの頬が小さな手で包まれます。
「…だから、あるじさまは、なにもしんぱいしなくて…いいんですよ?」
こつんと額と額がぶつかります。
至近距離で無邪気な笑顔が向けられて、不安だらけだったのがバカみたいに思えてきました。
わたしがわたしの刀を信じずに、誰が信じるというのでしょうか。
不安を感じるというのは、信じていないのと同義じゃないですか。
「はい、…はい…待っています、信じています。
その筈なのに…ダメですねわたし」
顔の距離を離します。
今剣は腕組みをして怒ってますと言いたげに頬を膨らませます。
「あるじさまはダメじゃないです!
ぼくのあるじさまをダメなんていうのは、たとえあるじさまじしんであってもゆるされませんよ!」
「ご、ごめんなさい!というより嬉しすぎます!
ありがとうございます!」
ほっぺたに手を添えてこね回すみたいにします。
今剣はいやがって手を掴まれてしまいました。
「ぼくはこどもじゃないんですよー!」
「ふふーそうですね。
あっ、そろそろみんなが来ますね」
数人分の足音が耳に届きました。