第4章 雪辱は必ず果たそうと
「どうしたの?主」
にこりと微笑んでくれます。
わたしはそっと手を離します。
初めての、お試しのような出陣ではお互いに酷い思い出を作ってしまいました…。
清光の顔を真っ直ぐ見ます。
「わたしらしくないみたい、かも、しれませんが、真剣に、言いたいことがあります」
「…うん、何?」
自分の手に、すごく力が入っているのがわかります。
また怪我をさせてしまったらどうしようという不安、いかないでと頼んでおいて引き留めそうになる弱さも、震えそうなくらい怯えているのも押し込めて、虚勢を張って言います。
「加州清光…命令です。
雪辱を必ず果たしなさい」
膝を折って跪く清光。
「主の命とあらば…必ず」
わたしの両手を、どこか歩く練習をする小さい子の手を引いて歩かせるようにとって、顔を上げました。
「約束します。必ず、誰一人欠けることなく…勝利を持ち帰ると」
わたし、感極まって、泣き出しそうです。
「はいっ…!」
込み上げた涙も流さないように。
「みんなを、清光を信じています…!」
「そんな顔しないで主。
主の刀は、きっとやれる…やってみせる」
「はい、そうですね、そうですよね…!
さ!清光もしっかり準備してくださいね!」