第2章 夢見る日々はきっと
「荷物は…届いてるみたいですけど、足りなかったりしましたか?」
今剣はぶんぶんと首を横に振ります。
「ここのひもがむすべなくてこまっています。
あるじさま、むすんでください」
腕の辺りに恐らくちょうちょ結びしそうな飾りのためだろうの紐ですね(推測だらけですね)。
「わかりました!結びますね!…じっとしててくださいね」
わたしも流石に、ちょうちょ結びくらいならできます。
ちゃちゃっと結び終えると、今剣はわぁ~!と嬉しそうにくるくる回って見せます。
「ありがとうございます!あるじさま!」
「どういたしまして!清光が待ってるでしょうし、早く行きましょう!」
ぱたぱたと廊下を駆けて、リビングに一直線です!
「清光は準備早いですね!」
「俺はあんまり用意することなかったしねー」
「準備ばっちりですね!よーし、では行きましょう!」
玄関まで移動して、靴箱を開けるとわたし達用でしょうね、履き物が入っています。
わたしは清光に『それがいいよ』と言われた靴を履きました。
今剣は、やっぱり歩き辛そうな下駄ですね…。
「お出掛け、初めてですしわくわくします…!」
少し歩くと、道が賑やかになってきました。
「主、あそこに俺がいる!」
「あっちにはぼくもいますよ!」
死人でも見たような顔をして、左右からわたしの袖を掴む二人。
「そういえば、言ってませんでしたね。
歴史の中で、現実の中でのあなた達は、確かに1つですが、なんと言えばいいのか…未来とは分岐するものなので、わたし以外の人でも、勿論あなた達を顕現することができるのですよ」
意味がわからない、といった反応に、わたしも困ってしまいます。
「可能性の1つ…なんですよね。
二人はわたし以外のお家の人のところで起きる可能性もあったんですよ。
別の可能性の先が、他の刀剣男士で…一人のさにわのお家は、もう別世界って考えた方がいいですよ」
何となく言いたいことはわかったかもしれない、と清光。
え?え?どういうこと?となっている今剣も、別世界という言葉で、『べつせかいなんですね!』と納得してくれました。
別世界というのもイメージの話ですが、間違いでもないのでいいでしょう。
「あ!あれです!万屋さん!」
わたし達と同じように、刀剣男士と共に入ったり出たりする人が一際多いお店。
わたし達も人の流れに乗って入りました。