第2章 夢見る日々はきっと
「いざ誰かが怪我をしたとき取り乱さなくていいように、そして今回取り乱さずに済んだのはあなたの誘導のお陰だということ…何となく、わかってました。
わたし一人だったら、きっと、喚くことしかできなかったから」
大人げなかったです、本当に。
わたしは床に座って、こんのすけに手を差し出します。
「掴みあげちゃったりした後ですが、良好な関係を築きたいです。
こんのすけ…。
わたしと、仲良しになりませんか?
お仕事があるので、『友達』とはお互いに言いにくいですから…仲良しに、なりましょう」
こんのすけはやっぱり笑ったりせず、ぺしっとわたしの手に前足を乗せました。
「…それじゃあ、わたしは着替えることにしますね!
どれを着たらいいのでしょうか?
和服から洋服まで、何でもありますよねぇ…」
こんのすけを抱き上げて、タンスとクローゼットを適当に開けていきます。
「こんのすけはどう思います?」
「うぅん…人の服については…」
適当に引っ張り出してみましたが、こう…うん、センスがないです!
何故わたしは反対色の全く違う系統の服を引っ張り出すのでしょう!
「そうだ!清光ならこういうの好きそうですよね!
聞きに行きましょう!」
「あ、そういえば主さま、伝えておこうと思っていたことがあるのですが…」
「忘れていたことならあまり重要じゃないでしょう?後で聞きますね」
「…そうですね。そこまで急ぎという訳ではないですし。
わかりました、主さま」
指紋認証して、隣の部屋へ。
たった数歩なのに、あんなに怖く感じたなんて…わたし、ちょっとじゃなく怖がりなんでしょうか?
昨日と同じようにとんとんとノックします。
「清光~、片付け終わりましたか?」
「うんー終わったよー」
返事の後に襖が開いて清光が出てきました。
普段着って感じの、全体的に赤い袴姿…?
『はかま』なんて全然記憶にないので合っているかは微妙ですが、和装です。
「すっごく似合ってますね!」
「そう?かわいい?」
「とっても!」
のほほんとした空気の中清光を褒めちぎります。
一段落ついたところで、本題に。
「あの、わたしの服も選んでくれませんか?
全然決められなくって…」
「全っ然いいよ!早く選んじゃおう!」
のりのり?みたいでよかったです。
それではわたしの部屋に戻りましょうか!