第2章 夢見る日々はきっと
それからわたし達は一度自分の荷物を片付けることにして、清光は荷物を持って自室に、わたしは荷物を部屋に運び入れて片付けを開始しました。
この狐はわたしの部屋に残り、色々説明をしてくれています。
「政府への連絡はこんのすけをお呼びくださればそれで…適当な紙に書いてくだされば責任を持って預かりますので。
それから月に1回程度報告書を書いてください。
緊急の連絡の時もお呼びくだされば飛んで参ります」
動物らしく、愛嬌たっぷりな動作で言う狐…もとい、こんのすけ。
瞬きはするんですけど、表情がぴくりとも動かないのが怖いです。
衣服の片付けが終わって、お仕事する用の机とお仕事関係のものをそれ用の棚にしまい終わったので、ほとんど片付けが終わりましたね。
ぱたんと棚の戸を閉じて、南京錠を閉じたわたしは振り替えって後ろにいるこんのすけの方を見ました。
「こんのすけ、わたし、あなたにどうしても、聞きたいことが、聞かなければならないことがあるんです」
こんのすけはぽふぽふと尻尾を振ってみせてから答えます。
「なんなりとどうぞ、主さま」
敬意を払っている態度を崩さないまま。
わたしは近付いて、しゃがんで、首根っこを掴み持ち上げて、立ち上がり、不思議そうに首を傾げるこんのすけに語りかけます。
「あなたは…清光が大怪我を負うことをわかって、一人で戦わせたのですか?」
反応が見えません。まるでぬいぐるみです。
「刀装の1つさえ持たせず、わたしを急かしたのは…大怪我を負わせて、わたしに手入れをさせるためだったのですか?」
やっと口を開いたこんのすけは、声色も口調も何も変えず答えました。
「主さまはご自分の中でその結論を出されたのではないですか?」
つまりそういうことでしょう。
「あなた…!」
急に饒舌になりだしたこんのすけはわたしの言葉を遮って話を続けます。
「主さまは賢しいようですね。
まだお若いのに、そんな所までちゃんと考えて、本当に怒るべき相手を…政府が説明の一環として、敢えて手入れを行うようにしているのを、わかっていらっしゃる」
わたしの手の力が弛んだので、こんのすけは床におりました。
「…わたしはあなたと違って、心を持つ人ですから…。
八つ当たりでした、ごめんなさい」
「頭をあげてください主さま」
やっぱりわたし、すごくバカですね。