第6章 2人の距離 6
そして由梨の腕を思い切り掴んでいた
少し怒りが込み上げる
車から降りて行こうとしたら背後から、ちょっとすみません。と俺を押し退け由梨に走り寄る誰か
2人の間に入り由梨と話を始めた
誰だ?とも思いながらなんとなくそれが輝って人だと思った
車に戻り様子を見ることにした
そして俺の方を見て何かを話していて由梨も見つけたらしく軽くおいでと手招きをする
そして由梨の前の彼は輝?って人にがっちりとホールドされた状態で去っていった
由梨は直ぐに車に寄ってきて後部座席に乗り込んだ
とりあえず病院だな。と言うと頑なに断る
「…病院は大丈夫です。湿布とかでなんとかなります」
凄く痛そうだったが仕方がないので、分かった。と自宅まで走らせた
家に帰ると直ぐにシャワーに直行する由梨
その間に由梨がいつも俺用にと作り溜めしてくれているつまみをいくつか出してついでに湿布とドライヤーも用意した
お風呂から上がった由梨をソファに座らせ腕に湿布を貼って髪を乾かしてあげた
ありがとうございます。と顔を少し硬くして言う由梨はいつもと違って放っておけない
「とりあえず飲みますか」
一通り終えて隣に座り缶チューハイを渡してさっき用意したつまみを食べてチューハイを一口飲んでいる俺を見て急に謝りだす由梨
「和さん。ご迷惑おかけしました。…ありがとう」
最後の方は泣きそうな声で言う由梨は今にも泣きそう
もう一口飲んだ後に缶を置き由梨の持っていた缶もそっと取り上げテーブルに置いた
「…きます?」
どうしても由梨からきて欲しかった
もっと甘えて欲しくて
迷惑かけたなんて思って欲しくなくて
手を広げてそう言うと素直に飛び込んでくる由梨をしっかりと抱きとめた
「一つ言っとくけど。…俺、迷惑かけられてないからね?」
背中をさすりながらそう言うと泣き出した
濡れちゃいます。と言いながら離れようとする由梨をぎゅっと更に力を入れて、着替えるから別に良い。と相殺する
そんなん気にしなくて良いのにさ
というか既に濡れてるし
このあとどんだけ濡れたって変わんないんだから
とりあえず抱きしめられとけば良いのに