第6章 2人の距離 6
「俺が居なくても眠れる?最近抱かれてないと安心して眠れないでしょ?」
そう言うと顔を赤くして、はい。と小さく答える由梨
よしよし。と頭をぽんぽんとすると、お世話になってます。と言うので、はいはい。とあしらうように言った
最近由梨は夜になると少し豹変する。
今日もそれで、遅くに帰ると由梨は眠っていて相変わらず魘されていた。
震えている由梨の頬を少し撫でる
すると目を開けてボーッと俺を見上げる
そっと頭を撫でると、お帰りなさい。と掠れた小さな声で言うので、ん。とだけ言ってシャワーを浴びに行った
寝室に戻ると由梨はまだ起きていて俺が来たことがわかるなり端に寄って寝る場所を空けてくれたのでそこに入り込み少し距離を開けた。
由梨の悪夢は多分過去のことで。
それは前の彼の事が原因だ。
そんな時に俺が無理矢理抱きしめるわけにもいかない。
というか拒否されるのが怖かった。
そんなことは全く知らない由梨はそっと寄り添い胸に手を当てて頭をくっつけてくる
そうされると受け入れられてる事に安心して優しく抱きしめ返した
「また震えてた。…夢?」
うん。と言うので、そう。と一言返した。
そして由梨は俺を見上げ突然首筋にキスするので少しビクついた。
最近由梨は必ずと言って良いほど迫ってきてちょっと厄介だ。
寂しいのか。甘えたいのか。
わからないけど日々我慢してるこっちとしては拷問に近い
「ん?…どうした?」
なんでもないように聞くとそれを無視して黙って唇にキスしてくるのでそんな事されたら答えない訳にもいかず優しくそれに対応する。
触れるキスの先には絶対踏み入れない。
由梨もそれ以上にはまだ準備が出来ていないのが分かっていたから。
その反面まだ足りないのかなとも思っている。
こんだけ求めてきてくれるのは可愛くて嬉しくて唇をそっと離しフフッと笑って頭をぐっと引き寄せた