第6章 2人の距離 6
「ねぇ。今日飲みに行こうよ。」
そう言って誘って来たのは翔さんでそれをやんわり断った。
由梨に前の彼の話を聞いてからは由梨が早い遅いに関わらず直帰するようにしている。
毎日のように魘される由梨はしっかりと眠れてなさそうで。
空ちゃんになんとなく仕事の様子を伺ってみたけど仕事上では全く問題がないようで家に帰ると気が抜けるのか良くボーッとしている
今日も、洗い物で皿を落としたのかキッチンから割った音がしてゲームを中断して振り向くと慌てて割れた皿を片付けていた。
キッチンに向かいしゃがんで細かい破片を一生懸命拾ってる由梨の頭を軽くぽんとした。
「とりあえず。落ち着きなさいよ」
フフッと笑いながら言うと困ったような顔をしながら、はい。と微笑む由梨
辛いだろう。それでも弱音の一つも言わない由梨は魅力的な一方心配になる。
本人的には頼りきってるつもりらしく、いつも頼ってしまい。すみません。ありがとうございます。と良く言われるが。
とりあえず残りの食器の安全確保の為に俺が洗い、由梨は掃除機をかけていた。
そしてまたボーッとして角に足を打つけてヒィヒィ言っている
いやいや。もう踏んだり蹴ったりだな。
あまりのおっちょこちょいぶりに我慢できなくて笑っていると、今日調子悪いな〜。と独り言を言う由梨に思わず吹き出した
「いや、今日に限らずですから」
そう突っ込むと、うっ。やっぱりそうですか。と言うので、これ以上笑わせないで。と釘を刺した
「私、最近隈が酷いですよね」
最近お風呂の後に自分で一生懸命顔のマッサージをしている由梨
んー。眠りが浅いからね。と言うと心配そうな顔になる
「すみません。いつも起こしてますよね。」
反省顔の由梨は、体力の限界になる前に自宅に戻られた方が。と言うのでニヤッと笑って見せた
「それは由梨の本心?」
わざとそう聞くと、いや…。と黙り込む
帰って欲しくないくせにそんな事を言う由梨をちょっと虐めてやりたくなった