第5章 2人の距離 5
「あ、お疲れ様です。」
ここは某撮影所。
取材を終えて廊下を歩いていると見たことある人に挨拶された。
お疲れ様です。と笑顔で対応すると、そういえば!と思い出したように言い出す
「よくうちのヘアメイクがお世話になってるみたいで。ご迷惑おかけしていたらすみません。」
そう言うこの人は雪乃空さんで由梨が専属でついているアーティスト
いやいや、こちらこそ由梨がお世話になっています。と言いたいところを飲み込み、いやいや。と交わす。
「そういえば今日は?いるんですか?」
そう言うと、今日は取材のみでいないらしい。
あ。あの人帰ったんだ。と1人納得してちょっとニヤついた。
「雪乃さん。今日もう帰りですか?」
そうですが。と言うので食事に誘うと、喜んで。と快く受け入れてくれた。
「いやー。まさか二宮さんに覚えてもらえてるなんて。由梨様々だな。」
飲み始めにそんなことを言われてブッと思わず吹き出す
「いやいや。由梨じゃなくてもちゃんと知ってたよ。まぁ、でも。色々聞いてますよ。雪乃さんの事」
ニヤッと笑って言うと、え?マジで?と気になっている様子なので変態発言のあれやこれやを話していると、あいつ。とフッと笑う
「そっか。じゃあ今日はもう畏まらなくて良い感じだ。」
雪乃さんもニヤッと笑って言うので、どーぞ。どーぞ。と言うと吹き出していた
暫く色んな話をしていると酒も進んだのか由梨のことを突っ込まれた
「実際どうなの?付き合ってるのかなって俺は疑ってる。」
そーねー。と返すと、あ、付き合ってんだ。と笑う
「そうそう。雪乃さんに言っとかないといけないと思ってたんだけど。…そのうち結婚するんで。」
ニヤッと笑って言うと俺を凝視して、へっ?と素っ頓狂な声を出す
「あ、あとこれ由梨には言わないで下さい。まだ何にも知らないから。あの人」
えっ。えっ。ちょっと待ってよ。と焦り出す雪乃さん。
「いや。…それは困るよ。仕事はやめて欲しくない。」
そう言う雪乃さんは心底由梨の仕事振りを認めているのだろう