第1章 2人の距離
由梨ちゃんが帰ると残念がるスタッフが数人。
「あー。帰っちゃったー。俺たちの癒しが。」
そんな事を言い出す彼はさっきまで由梨ちゃんの隣にいた男性スタッフで。
「もろバレだから。少しは遠慮しろよなー」
「まぁ、わからなくもないけど。いつもはパワフルガードに守られてるしねー。」
何故かそんなのに納得する女性スタッフもちらほら現れた
たしかに。
いつもは楓ちゃんというガードマン?がいるからね。
狙いたくても無理な話で。
「でも、流石にさっきので気づいたんじゃないですか?」
そうやっておちょくる他スタッフも出てきて少し顔を赤くする彼がなんだか弄りがいがありそうでニヤニヤしながら日本酒をちびちび飲んでいた。
「えっ。なに?皆んな神崎ちゃん狙ってんの?やめろよなー。楓さんが怖いよ俺」
3歩くらい遅れてそんな事を言い出すのはもちろん相葉さんで。
そんな相葉さんをまぁまぁ。となだめた
「別に良いじゃない。それに気付いてないよ。あの人多分。」
さっきの喫煙所を思い出しながらそんな事を言うと、え?と少し戸惑った顔を見せるさっきまで赤くしていた彼。
「新人さんなんだからさ。優しくしてやんなさいよ。」
あんまりガツガツすんなよ。と遠回しにやんわり言うと少し落ち着きを戻したので、まぁ2人の問題だからね。と続けるとちょっとしょぼくれていた。
気付いていないのは確かだと思う。
だって今のところ貴方の興味より俺が見たサラリーマン風の彼の方が由梨ちゃんの脳内を占めているんじゃないかな。
頭の中にではそんな事を考えていた。
それからちょっとした所に松本さんが到着した。
主役は後から登場すんですよね。とニヤニヤしながら隣に座る彼に労いの言葉として言うと、おう。と満更でもなさそうな顔をするので早々に来たビールで本日2度目の乾杯をする。
その後はあちこちで小さなグループが出来てそこでちびちび飲んでいると相葉さんがそこそこ出来上がって登場した。
「にのー。ちゃんと飲んでる?」
ちびちび飲んでいるのが気にくわないのかそんな事を言われた。