第3章 2人の距離3
「…それなら、一緒に寝ましょうよ」
俺がそう言うとフリーズする由梨
「…………はっ、えっ?…あ、そっか。」
自分で言ったことになんとなく気づいたらしい。
「変なこと言ってすみません。でも私ソファで大丈夫ですから。…遠慮なく。」
ニコッとして言うので、そうじゃなくて!と否定する
由梨に近づきそっと頬を撫でた。
「……ダメ?俺だって気になるよ。由梨がそっちで寝ちゃうと。」
そう言ってそっと手を引き立ち上がらせた。
ちょっと慌ててる由梨を優しく見つめた後寝室に連れて行き先に横になった。
由梨の寝るスペースを空けてポンポンとベッドを叩き、どーぞ。と言うとおずおずと隣に滑り込む
少し警戒してる由梨が面白くてフフッと笑った
「フフッ。大丈夫よ。慌てなくても。何もしないから安心して」
さっきまで眠りかけていたから口がしっかり回らないけどそう言うと、ほんと…すみません。変な事を言って。ともう一度謝ってきた
「…気にすんな。別に変じゃないし、ちょっと嬉しかった。気にしてくれたんだろ?」
はい。と小さく答えた由梨
可愛すぎるだろ。
顔がとかそういう問題じゃなくてただただ可愛らしいっていうやつ
「…あー。やっぱさ。少しいい?」
へ?と聞く由梨にゆっくり近づき優しく抱きしめた。
「やっぱ、由梨落ち着くわー。」
その温もりが心地良すぎてフフッと笑う
暫くするとすぅすぅ。と規則正しい呼吸音が聞こえて由梨が寝たんだなと確信する。
喉が乾いたなと思いゆっくり腕を解きキッチンに向かった。
勝手に冷蔵庫を開けてお茶を注いで飲んでいるとあるものに目がいった
あ、これって。
近づきよく見ると思った通りのものだった。
母子手帳と白黒の写真。
多分これはお腹の中の写真だよな。
綺麗に花と一緒に棚に飾られていた。
仏壇がある訳ではないけれどそれは常に綺麗に手入れされているのがわかる
思わず手を合わせてみる。
ねぇ。
俺さ。
お前のママ貰っちゃって良いかな。
そんなことを思っていた。