第1章 ~初夜の声は、さらすもの。~
そうやって
おだやかに、幸せにお付き合いが続き、
出会って最初の私の誕生日。
孝一さんは、
私と、母をレストランに招待してくれた。
母は
「二人で行って来なさい。」と
最後まで遠慮していたのだけど
孝一さんがどうしても
「はるかの誕生日は、おかあさんにとっても
大事な一日ですから。」と譲らず、
結局、三人で出かけた。
今まで行ったこともないような
高級レストランの個室で、
見たことないような彩り豊かな食器と
食べたことがないような豪華なディナーの後、
孝一さんは、改まって私達に言った。
「はるか、改めてプロポーズさせてくれ。
次の春には結婚しよう。
おかあさん、
大切に育ててこられたはるかさんを
僕の妻にさせて頂けませんか?
少し遠くに行くことになるから
心配でしょうが…
僕と、僕の家族がはるかさんを大切にします。
どうか僕たちの結婚を許可してください。」
こんな男らしいプロポーズが、
他にあるのだろうか?
私より先に涙を流した母は、
「ええ、もちろんです。孝一さん、
まだまだ出来ないことばかりの娘ですが、
どうぞ孝一さんのご家族のお役にたてるように
末永くよろしくお願いします。」
と、何度も何度も頭を下げ、私に向かって
「はるか、
孝一さんのご家族に可愛がってもらえるよう、
しっかり教えを守る、
いいお嫁さんになりなさい。」
と結婚を許してくれ、
その母の言葉を聞いた孝一さんは
「ホッとしました。
おかあさん、ありがとうございます。
じゃあはるか、左手、出して。」
薬指に、ダイヤモンドの指輪。
嬉しくて、感激して、幸せで。
それが、今から半年前のこと。