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~蜜の音、甘い声~【R18】

第1章 ~初夜の声は、さらすもの。~



「疲れてるところだとは思うけど、
今日ははるかさんがうちの家族になる
大事な日だから…
少し辛抱してつきあってちょうだいね。」

「はい、お義母様。」

熱いお茶とお漬物をいただいたら
緊張も少しとけてきた。

「それじゃ、行こうか。」

車で10分ほどの役場に婚姻届けを提出し、
そこからすぐの小さな美容室へ。

「古い美容室だけど、店は娘さんが継いでて
腕は確かだから安心してね。
あぁ、やっとこの白無垢がまた見られますね、
ねぇ、お義母様!」

お義母様がおばあ様に話しかける。

「あぁ、本当だねぇ。30年前、50年前を
ハッキリと思い出せるよ…」

この白無垢を着て嫁いできたおばあ様と
お義母様の嬉しそうな顔を見て、ジンとする。
私も、20年か30年くらい後、
私達の子どもの結婚の時に
同じような気持ちを味わえるのかしら…

白無垢に綿帽子をつけ、
新しく誂えた紋付き袴を身に着けた
凛々しい孝一さん、
そしてそれぞれ、袴と留め袖姿の
両親、祖父母に弟たち…

美容室からあるいて10分ほどの神社まで
歩いて移動すると、近所の人たちが顔をだし

「あれ、久しぶりにお嫁さんを見たよ。」
「こりゃまた若くてべっぴんさんだ。
孝一君、でかしたもんだね!」

…などと声をかけてくれる。

「小さな村だからさ、
みんな家族みたいなんだ。
若い人が少ないから、ついみんな気になって
声かけてくるけど、気にしないで。」

私に気を使ってか、
孝一さんがそう話しかけてくれた。

「孝一さんのご家族だけじゃなくて
村の皆さんに可愛がってもらえるように
私、頑張ります。」

そうして歩くうちに到着した、
これもまた歴史ありそうな神社で、
私達は神様の前で結婚の誓いをたてた。

その後、孝一さんのご実家に帰り、
今度は私のために誂えて下さったという
黒留袖に初袖を通し、
次々をやってくる村の人たちに
ご挨拶をして…

訪問客もいなくなって一息ついた頃には
もう外はすっかり暗くなっていた時間だった。


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