第2章 黒を持つ奴隷
「っ、く…」
男の手が機械的に俺のものを扱く。未だ濡れていないそこをゴムの手袋をした手に容赦なく擦られ痛みが走る。
「いっ…」
「我慢しなさい」
そう言われても急所への痛みに涙が滲む。でも男の手は止まることは無かった。
「良いですか、良く聞きなさい。これから貴方は、この粗末なもので主に奉仕しなければなりません」
主と聞いて、俺に優しく笑いかけた美しい人を思い出した。
「この汚いもので、主を楽しませて差し上げるのです」
「うっ、ぐ…」
男の奴隷が女性の主に買われて、愛人となり夜のお相手をする。それと同じ事を俺もするのだろう。奴隷の俺が、あの綺麗な人に…
そう思うと、ドクンと心臓が音を立てた。
「急に固くなりましたね…奴隷風情が何を想像したのです?」
男の口元にうっすらと笑みが浮かんだ。ここに来て初めて見る男の表情だった。男に何を想像したのかと聞かれ、つい顔が赤くなった。俺は、あの綺麗な人を組み敷いて貫くという淫らな想像をしてしまった事を見透かされたと思った。
あの人の真っ白な肌はどんな匂いがするのだろう。あの滑らかな肌はどんな味がするのか、俺が抱くとどんな声を上げるのだろう。
そんな想像をして、気付いた時には俺の股間は先走りで濡れていた。ゴム手袋をした手に俺の精液が絡んで、グチュグチュと音を立てる。
「良いですか、貴方は突けと言われればこれを使って主が満足されるまで突き上げるんですよ。擦り剥けても、血が出ても、主が良いと言うまで応えるんです」
「っ、ぁ、分かっ、た」
俺は痛みとも快感とも分からぬ中で必死に頷いた。
「違うでしょう、はい、と返事をしなさい」
「いぎっ」
先っぽに爪を立てられて、激しい痛みに腰を引いた。俺は半泣きになりながら何度も頷いて「はい、はい」と繰り返した。
「主にはくれぐれも粗相の無いように。それと…これは絶対に守って下さい」
男の手が射精を促すように根本から搾るような動きに変わった。
「主の美しい肌に傷や痕を残す事は許しません。それと貴方の汚い子種で、主の中をくれぐれも汚さぬ様に」
「あっ、あ…」
駄目だ、もう我慢出来ない!
「う、あぁ!」
俺は男の手の中に精液を吐き出して、力なくその場に座り込んだ。
「守らなかった時は…覚悟しておきなさい」
男は手袋を外しながら冷たい声でそう口にした。