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ただ一つの心を君に捧げる

第3章 女主人


「んっ……」

ノアールの熱が私の中を満たす。その心地好さにブルリと体を震わせた。相手の上で体を揺らす動作は、意外と疲れることを知った。荒くなった呼吸を整えながらノアールの様子をうかがう。

「…ノアール?」

ベッドに体を投げ出したノアールは、目元を手で押さえてグスグスと鼻を鳴らしていた。大変、どうやら苛めすぎてしまったみたい。

「ぅ、ひっく…す、すいません、俺、みたいな、汚いの、ご主人様、の、中に…」

ノアールの言葉にキュンと胸が高鳴った。ノアールってば、私に苛められて泣いているのでは無くて自分が私の中で達してしまった事への罪悪感に泣いているの?

「可愛いっ!」

思わず抱きついた。私の行動に涙のたまった目を丸くしているノアールの髪を優しく撫でる。

「ノア大丈夫よ。中に出しても気にすること無いわ。私に子供は出来無いし…それに、ノアの熱を感じて私は嬉しいもの」

私の言葉に少し落ち着いたのか、グスッと鼻を鳴らしたノアールが潤んだ瞳で私を見詰める。

「っ、ご主人様は、嬉しいん、ですか?」

「ええ、ノアールは汚く無いし。私はノアールを気に入っているから、ノアールと一緒に気持ち良くなれて嬉しいわ」

ね、と笑いかけると彼も小さく笑い返してくれた。私はノアールの濡れた目元を舐める。するとノアールが更に擽ったそうに声を上げて笑った。

「…あら?」

私が違和感に気付いて視線を下げるとノアールが恥ずかしそうに頬を染める。私は悪戯っぽく笑うと、私の中でまた硬度を増した高ぶりを絞めつけた。

「うっ」

「ふふっ、ノアは元気ね。今度はノアが動いてみる?」

問いかけると、ノアが私の腰を支えて身を乗り出して来た。私をベッドへ押し倒して覆い被さる。

「今度は、俺がやります。ご主人様…まだでしょ?」

まだと言われて、確かにまだ私は達していない事を思い出した。でも、何だかノアールとの繋がりは快楽だけでなく気持ち的に満足したと言うか…別に、ノアールが気持ちよかったのならそれで良いかとも思っていたのだけれど。

「ちゃんと、ご主人様も気持ち良くします」

そう言って見下ろすノアールの顔はやる気満々だった。何だか鼻息が荒い。

「えっと…その…お手柔らかに、ね?」

可愛い子ぶって首を傾げて見せたのが悪かったのか、興奮したノアールに朝方まで付き合わされる事になったのだった。
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