第1章 【カラ松×一松】約束
俺がアイツへの想いを自覚したのは、一体いつのことだっただろうか。
居間の隅で親友の頭を撫でながら、俺はふとそんなことを思った。
本当に唐突に、まるで今日の夕飯は何だろうかと悩み出す時のような感覚だった。
けれど疑問を感じたのはたった一瞬で、すぐにその答えは導き出された。
いや、導き出されたと言うのもどこかおかしいきがする。
今日でなくとも、きっかけさえあればあの頃の記憶はいつでも鮮明に蘇っていたはずだ。
それこそ今の今まで唯の一度も思い出さなかったことの方が不思議なくらい、当時の光景が色褪せないまま頭の中を駆け巡る。
思わず目を細めてしまいたくなるくらいに眩しく、今の俺では考えられない程に青臭い。
同時にアイツへの想いは決して許されるものではないと、多くの苦しみに苛まれていたこともよく覚えている。
その苦しみをいとも簡単にぶち壊して、躊躇うことなく俺の手を掴んでくれたのも、やはりアイツだった。
その頃の俺は一言で言うと真面目で、今の俺なんかより幾らか生きる価値があったように思う。
先生や友人の頼みはいつも快く引き受け、委員の仕事をサボるクラスメイトが居ればその分の仕事をこなし、柄でもないがクラス委員なんてものもやっていた。
そんなことを続けていれば部活動をする時間などなく、俺は必然的に帰宅部を選択した。
けれど俺はそれでいいと思っていたし、寧ろそれがいいとさえ思っていたんだ。
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