第17章 桜舞う
あたりが暗くなってくるとセットしてあったロウソクに火が灯る
桜がぱぁっと照らされ昼とはまた違った美しさを放つ
思い思いに楽しむ皆んなを見て飛鳥はそっと立ち上がると飛鳥付きの女中に声をかけてその場を後にする
人数はかなりいるものの武将達は飛鳥が居ないことにすぐ気付く
『飛鳥は何処へ行った…』
信長が怪訝そうに言うと三成が信長に膝をつき告げる
『飛鳥様は少し準備が御座います。少々お待ちくださいませ』
三成だけは飛鳥が退座した理由を知っている
お花見の少し前に書庫にいた三成に飛鳥はある事についての書物を借りていた。
だけど飛鳥に皆んなには秘密と言われ今まで黙っていたのだ
『三成だけ知ってるのか?まさか危ない事ではないだろうな?』
心配そうに秀吉が三成を見る
『いえ。危ない事なんてございません。皆さんきっと驚きますよ。』
三成はふふっと笑い飛鳥が出てくるであろう方を見やる
『彼奴の行動は面白いからな…』
信長が目を細める
しばらくすると飛鳥が戻ってくる
「お待たせしました」
その姿を見てその場の皆が押し黙る