第17章 桜舞う
政宗の御殿に着くと部屋に通してもらう
『どうした飛鳥?』
政宗の前に座ると華麗な土下座を決める
『っ!何だ…一体…とにかく頭を上げろ』
ビックリする政宗にワザと目を潤ませて言う
「お願いします…料理を…料理を教えてください!」
そのお願いに政宗はギョッとしている
飛鳥がこの時代に来て間も無くたった頃のこと…
女中の仕事で料理場で手伝いをした飛鳥だったが、物凄く料理が苦手な故にお皿を割り…鍋は焦がし…手は切り傷と火傷…
それはもう地獄の様な光景だった…
政宗はその光景を思い出したのだろう
飛鳥を見やり宥める
『飛鳥…辞めておけ…』
ここで頷くわけにはいかない。
必死になって食い下がる
「お願い!お花見の料理を作りたいの!だから…」
その言葉を塞ぐようにニヤっと笑い
『だから…俺が作ってやる。どうせ飛鳥しか知らない料理なんだろ?飛鳥は隣で作り方を教えてくれればいいから』
政宗の返答に満面の笑みを浮かべ喜びの余り飛びつく
ぎゅっーっと抱き締めて
「ありがとう!!!!政宗様さまだよ!」
呆気にとられる政宗を尻目に材料の書いた紙を渡し、帰り際に付け加える
「買い物も一緒に行くから!それじゃぁね!」
出て行く飛鳥を少し赤くなりながら呆然と見送る政宗だった
そんな政宗を知る由もなく城に戻った飛鳥は部屋に入ると、お金が入った布袋を取り出し中身を数え始める
(うん!これだけあれば足りる!)
女中の仕事や世話役の仕事で貰ったお駄賃を少しづつ溜めていたのだ。
(明日は城下に行かないと!あっ、後お針子さん達の所にも…!)
数日間飛鳥はお花見の準備に明け暮れるのであった。