第15章 Loved one 家康ルート
城下出でぶらぶら歩く。
気付くと林の小道まで歩いていた。
この先の甘味屋。
飛鳥が気に入って通っていたのを知っている。
だがあれから行く事はなかった。
(飛鳥…ここのみたらし団子好きだったよな…)
足を進め甘味屋に立ち寄る
みたらし団子を買い、来た道を戻る。
(別に…飛鳥の為じゃないし。そもそもあいつ俺の事避けてるし…)
買ったものの渡す機会もない事に小さく苦笑いをして御殿へ戻る。
『お帰りなさいませ家康様。お部屋に飛鳥様がお越しです』
『飛鳥が?』
女中にそう言われ驚きを隠しながら自分でも気付かないうちに足が部屋へと早まる。
部屋の前に着くと襖を開こうとした手を止める。
中から飛鳥の声が漏れる。
「ワサビ…私…家康に嫌われちゃったのかな…」
(はっ?嫌われてるのは俺でしょ…)
「そうだよね…嫌われちゃってもしようがないよね…私の身体…キレイじゃないしね…」
(あの子、何言ってるの…)
「でもね…ワサビ…私、家康の事諦められないんだ…だって…こんなに好きだから…」
『っ!』
(今、なんて…)
「好きで好きで…どうしようもなくて…ね…ワサビはいいな…いつも一緒に居れて…」
家康にとって衝撃だった。
てっきり自分の事を嫌っていると思っていた。
まさか…まさか飛鳥が自分を好いているなんて…そんな風に全く思えなかった。
自分の態度も悪かったし。
こんな自分を好きになってくれるなんて思ってなかった。