第15章 Loved one 家康ルート
襖を開け声をかける
『何しに来たの』
飛鳥かハッとして振り返る
自分から出た優しさのない言葉に嫌気がさす
「勝手にお邪魔してごめんね…これ…ワサビに」
キレイに包まれたそれを取ると中を見る。
煎餅の様な…煎餅よりも薄い物が数枚出来た。
『これは?』
「あのね…これ、鹿せんべいって言って…ワサビが食べられるお煎餅なの。私のいた時代にあるんだけど…」
そう言って膝の上で両手を握る飛鳥
その手を見ると所々火傷らしき物が見える
『これ…飛鳥が作ったの…?』
少し頬を染めて頷く
「うん…あんまり上手く出来なかったんだけど…」
(だからか…ったく…)
そう言って棚から木箱を取ると飛鳥の前に座り手を取る
『火傷…してるじゃん』
指にそっと軟膏を塗り布を巻く
「あっ…ありがとう…」
手当てをした手をそっと握りしめたまま呟く
『あんた…本当よく怪我する…』
「ごめん…」
そう言って俯く飛鳥
『別に…怒ってるわけじゃないから…』
握る手の温もり。
飛鳥に目を向けると下を向き頬を染めている
(あぁ…参ったな…)
言葉を出せば、また天邪鬼が顔を出す。
だから握ってる手を引き寄せる
腕の中に収まる飛鳥
焦った様に顔を上げる
そのまま触れるだけの口付けを落とす
ぎゅっと強く抱きしめ耳元で囁く
『聞いてたから…あんたの気持ち…』
ワサビに話していた話を聞かれていたのだと悟り腕の中でコクリと頷く
『こんな事するの…あんただけだから』
抱き締めている腕から飛鳥をそっと離して見つめる
きっと顔は真っ赤だろう
でもそれで良いと思った
だって飛鳥が目に涙を溜めて頬を染めて、今までに一度も見たことの無い笑顔を自分に向けていたから…
(敵わないな…)
抱き締め直して、激しい口付けをする
息をする暇も与えないほどに…
激しく…激しく…
今まで言えなかった気持ちを込めて。
優しく出来なかった詫びを込める様に。
「はっ…はぁ…いえや…す…」
息も絶え絶えの飛鳥をその場に押し倒す
飛鳥顔の横に手を着き覆い被さると首筋に舌を這わす
ちゅっと音を立てて花を咲かす