第15章 Loved one 家康ルート
御殿に戻り秀吉の言葉を思い出す
『あいつ泣いてたぞ』
泣かしたいわけではない。
皆んなと同じ様に笑顔が見たい。
いや…自分だけに向けて笑顔を見せて欲しい。
家康の心はどんどん、どす黒くなる。
(飛鳥…ごめん…)
いくら心の中で謝っても飛鳥には届かない。
翌朝、軍議で呼ばれ城に向かう。
広間を開けるとそこには飛鳥もいた。
入った瞬間目が合うが、そっと逸らされる。
『っ』
家康の心は締め付けられる。
初めの頃に目を逸らしていたのとは違う…。
『チッ』
思わず舌打ちをしてしまう。
慌てて顔を上げた飛鳥を見ずに席へと着く。
軍議に集中出来るわけもなく、飛鳥が時折視線を送ってくるのを見て見ぬ振りする。
終わるとその場に居たくない一心で直ぐに広間を出る
飛鳥の横を通り過ぎる瞬間、何か話しかけようとした様に見えた。
気付いていたのに。
なのに自分から声をかけられない。
自分の天邪鬼を恨む。
城を後にすると御殿に戻る気にもなれず、そのまま城下に足を運んだ…