第13章 Loved one 信長ルート
『行くぞ』
飛鳥と共に町を歩く。
飛鳥はきょろきょろしながら町を見る。
(まるで童の様だな…)
クッと笑い手を掴む。
「信長様?」
びっくりして見つめる飛鳥に
『迷子にでもなりそうだ』
飛鳥は顔を真っ赤にして手をそっと握り返し
「あっ…ありがとうございます…」
手を繋ぎながら歩くと露店に金平糖が売っているのを見つける。
「あっ!信長様ありましたよ!金平糖!」
はしゃぎながら並べてある金平糖の前でしゃがみ色とりどりの瓶を見つめる。
隣にそっと寄り添い
『どれが良い』
と飛鳥に尋ねる。
「えっ?私が選んでいいのですか?」
そう言う飛鳥に頷くと迷いながらも薄い赤色の瓶の金平糖を手に取る。
『それで良いのか』
「はいっ!」
飛鳥の頬が赤くなりふにゃっと笑って両手に大切そうに金平糖の瓶を包む。
その光景を見て、信長の心は何か温かいものに包まれる。
(何だ…この感情は…)
まだ気付いてない…いや、認めてない感情を押し隠し
『行くぞ』
と言って踵を返す。
少し歩いて振り向くと飛鳥がいない…
(あやつ…どこに行ったのだ…)
信長は焦る…
あの時を思い出す。
もう飛鳥を悲しい思いにさせたくないと強く思い来た道を走りだす。
『飛鳥…飛鳥!』
遠くの方で
「信長様っ!」
飛鳥が駆け寄る。
見つかった安堵感と勝手に離れた苛立ちで、少し声を荒げる
『どこにおったのだ!ワシから離れるでない!』
そんな信長を見て、申し訳なさそうに俯き
「すいません…」
俯いた飛鳥の手を取りまた歩きだす。
空が茜色から漆黒に変わりそうになる頃に宿に着く。
はぐれてから二人は一度も会話をする事はなく、信長は自分の感情が飛鳥の行動一つでコロコロ変わってしまうことに戸惑いを感じ、口を閉ざして歩く中考えていた。
宿に着いた頃にはすっかりそれが恋心だと気付き、それを自身で認めると飛鳥が愛おしくて堪らなくなっていた。