第11章 loved one 秀吉ルート
紅葉を見ながら少し歩くと小さいながら活気付く町が見えてきた
飛鳥は少し歩くと立ち止まり、 これは政宗に…これは家康に…と皆のお土産を選び出す
ニコニコしながら店を見て回る飛鳥の後ろを付いて回る
口から出るのは城に残した皆の事で飛鳥らしいと思いながらも、少しの嫉妬
(俺と一緒にいるのに…やっぱり兄止まりかな…)
そんな秀吉を見つめ
「はい!」
みたらし団子をいつの間にか買った飛鳥が団子を渡す
『おー!ありがとな』
頭を撫でる
飛鳥は頭を撫でるといつもふにゃっと気持ち良さそうな顔をする
それを見るのが秀吉の楽しみでもあった
団子を食べながら町を見て歩き空が茜色に染まり始める
『そろそろ帰ろうか』
「うん!」
自然と手を繋ぎ宿まで戻ると、温泉に通される
「わぁー広ーい!あったかぁーい!」
仕切りで繋がった向こうからそんな声が響いてくる
秀吉はふっと笑って
『あんまにはしゃぐなよー!転んで怪我するぞ!』
と声をかける
「わかってるってー!」
そう聞こえると湯に浸かりながら思う
(こうやって世話を焼くから兄としか思われないんだろうな…でも俺は甘やかす位しか出来ないしな…男として見られるにはどうすればいいんだ?いや、飛鳥は御屋形様の寵妃…手を出したらいかん…だが気持ちに嘘はつけないしな…)
考えに考え答えも出ず若干のぼせながら湯から出る
廊下に出ると浴衣を身に纏い髪を布で拭きながら飛鳥が待っていた
『先に部屋に戻らなかったのか?髪も濡れてるし湯冷めするじゃないか』
そう言って飛鳥の持つ布を取ると頭を優しく拭く
「さっき出た所だから、大丈夫だよ!」
白い肌が火照り薄っすら赤く染まる横顔を髪を乾かしながら見やる
妖艶すぎて眩暈がする
さっと乾かしてまた手を繋ぎ部屋に戻ると豪華な夕餉が並べてある
「わぁー凄い美味しそう」
『これは見事だな…』
席につく二人に女将がお酒を振る舞う
『こちら飛鳥様でも呑みやすいかと思われます。さっさどうぞ』
秀吉に注ぎ、次に飛鳥に次ぐ
『では御ゆるりと御過ごしくださいませ』