第11章 loved one 秀吉ルート
そこには既に武将達が集まっている
飛鳥を隣に座らせて夕餉を食べる
皆あの日の事は口にしない。
もちろん御屋形様もだ…
『飛鳥』
ふと御屋形様が飛鳥を呼ぶ
「はい」
『未来にも温泉はあったのか?』
温泉?
「はい!もちろんありますよ!わたし大好きです!」
ニコニコ答える飛鳥に御屋形様は口角を上げながら続ける
『領地内に温泉が湧いたらしい。視察と称して行って参るか?』
「えっ?いいんですか?」
『あぁ…護衛に一人付けよう。誰が良い』
飛鳥の返事を固唾を飲んで見守る
皆が行きたいと思っているのはわかっている。
飛鳥に好意を寄せている事も…
自分が御屋形様の側を離れるわけにはいかない。
だが他の誰かと二人で温泉…
嫌な想像しかできない
(御屋形様申し訳ありません!飛鳥…私を選んでくれ…)
『飛鳥、俺と行くか?』
クツクツ笑う光秀をジロリと睨む
『いや、飛鳥!俺と行こう!隅々まで洗ってやるぞ?』
そのまま睨みながら政宗に目をやる
そんな秀吉をニヤっと笑いながら
『家康と三成…貴様らなら飛鳥も安全ではないのか?』
(御屋形様…)
ガクッとうなだれる
『俺は嫌です…めんどくさい』
不機嫌に答える家康を尻目に
『私でよろしければ喜んでお供いたしますよ?』
満面の笑みで答える三成
(どいつもこいつも…くそっ…俺が行けるのならば…)
横目で飛鳥を見ると、頬を染めて見つめる瞳と目が合う
「あの…秀吉さんと…いいですか?」
飛鳥は秀吉と信長を見ながら俯き加減で言う
ニヤっと笑いながら信長は
『よかろう…秀吉、飛鳥を連れて明日迎え』
『はっ!』
そう返事をした秀吉は飛鳥に選んでもらった嬉しさで浮き足立つ気持ちを必死に隠していた。