第11章 loved one 秀吉ルート
『飛鳥?入るぞ』
襖を開けると飛鳥は火鉢の近くに横になりうたた寝をしている
あの一件から月のものも来て笑顔を取り戻した飛鳥だが秀吉は内心ハラハラしながら飛鳥を見ていた
あの時自分が真っ先に男切ろうとして我を忘れた
飛鳥のあられもない光景が頭から離れない
妹と思っていた…いや…妹と思うようにしていた
飛鳥に抱いた恋心を認めぬように自分を偽り、兄のように接し、飛鳥の安全を第一に考える
だが時が過ぎるうちにその屈託のない笑顔で周りを魅了し、誰にでも分け隔てなく接する姿を見て嫉妬とも言える感情を認めざるおえなくなってきていた。
『飛鳥…おい、飛鳥』
飛鳥の身体を揺すり起こす
「ん…?秀吉さん…」
ふわぁっと欠伸をして目覚める飛鳥
童の用な寝ぼけて虚ろな目は妖艶で、なんとも言い難い表情で秀吉を見つめる
(そんな無防備な顔をして…)
そっと乱れた髪を耳にかけてやり
『こんな所で寝ると風邪を引くぞ…』
肩にそっと羽織をかけてやる
ふにゃっと笑い
「ありがとう」
その笑顔に癒されつつも、そろそろ夕餉の時間だと告げる
「今支度する!ちょっと待って!一緒に行こう」
あの日から飛鳥は部屋以外を一人で出歩くことが無くなった…
本人は無意識なのかも知れない。
だがあれだけの恐怖だったのだ。
それも仕方ない…
『待ってるから慌てるな』
身支度をして駆け寄る飛鳥だが急いだせいで脚が縺れる
「きゃっ!」
『おっと』
倒れそうになる飛鳥を抱きとめる
『だーから慌てるなって言っただろ?』
腕の中の飛鳥に呟くと頬を染め見つめられる
(そんな目で見るな…自制が効かなくなる)
そっと立たせると
「ごめんなさい…気をつけるね」
まだ頬が赤い飛鳥の手を自然な仕草で取り、手を繋いで広間まで向かった