第9章 Loved one〜政宗ルート
大した事はない。
ただの小競り合いだった。
怪我もなく一週間ばかりで戻ってこれた
信長様に報告をして飛鳥の部屋に行く
『飛鳥?』
中から着物が擦れる音
障子を開くと慌てた様子の飛鳥…と秀吉がいた
(あぁ…そういう事か…)
『なんか邪魔したみたいだな』
障子を閉める
力が篭ってドンっと鈍い音を立てる
その場に居たくなかった
急いで御殿へと戻る
飛鳥は自分を好いてると思っていた。
お互い同じ気持ちだと思っていた。
『思い違いだったか…くそっ!かっこ悪りぃな』
照月を撫でながら思いにふける。
すると照月が離れて襖をカリカリ開けようとする
『なんだ…お前まで俺から離れるのか?』
苦笑いをしながら襖を開けると
「政宗…」
飛鳥が風呂敷を抱えながらそこに立ってた
『飛鳥…どうした。秀吉とはいなくていいのか?』
突き放すような言い方
(かっこ悪りぃな…飛鳥の事になると余裕なくなる…)
目に涙を溜めながら意を決したように
「戦にの前に伝えたいことがあるって言ってたよね?それを言いにきたの…」
少し震える飛鳥を部屋に招く
『秀吉との事か?恋仲なんだろ?』
ハッと顔を上げて苦しそうな顔をする
(俺は何を言ってんだよ…あんな顔見たいわけじゃないのに)
「なんで…なんで秀吉さんなの?秀吉さんとは恋仲なんかじゃない!私が好きなのは政宗なのに!」
びっくりして顔を上げる
『はっ?だってさっき部屋で…』
「あれはっ、秀吉さんに政宗にどうやってこれを渡そうが相談してて…いきなり開いたから急いで隠したから…」
そう言って風呂敷の中身を取り出す
青のグラデーションの反物が羽織になっていた
『これは…』
「政宗に作るって約束したでしょ?これを渡して私の気持ちを伝えたかったの。でも…」
(俺はなんて勘違いをしてたんだよ…)
両手で頭を抱える政宗に飛鳥は続ける