第9章 Loved one〜政宗ルート
町はいつものように賑わい、一連の騒動も落ち着き活気が溢れている
隣をちょこちょこ歩いていた飛鳥が
「あのっ!政宗?」
袖を引っ張って止めた
(不安か…)
そっと手を握る
『俺が守ってやるから、お前は美味いもの食って笑え』
微笑みながら言う政宗に、安堵と何処か恥じらいながら飛鳥が頷く
政宗は初めはからかい甲斐のある女子位だと思っていたか、飛鳥と触れ合うたびにそれが恋心だと気付き始めていた。
あの日あの光景を目にし、猛烈な怒りと共に飛鳥への気持ちが恋だと確信した。
ずっと隣でこの笑顔を見ていたい
俺が守りたい
そう思いながら隣でキラキラした目で町を見渡す飛鳥を見る
(くそっ!可愛いじゃねぇーか)
反物屋まで来ると
『飛鳥様!なかなかお会いできなくて心配しておりました』
店主がいつもの笑顔で飛鳥に近づく
ギュっと手に力が加わる
(怖いのか…)
そっと肩に手を回すと、飛鳥は身体の力を抜いて
「ちょっと忙しくて…取り置き長い間して貰ってすいません」
頭を下げると
『いいんですよ。これは飛鳥様のと思っておりましたので』
青のグラデーションのかかった反物を手渡される
政宗を見つめ
「これ、政宗に似合うと思って…どうかな?」
照れて頬を赤くしながら問う
『キレイだな…楽しみにしてるぞ』
ニコっと笑って飛鳥を見る
(そんな頬を染めて言うなよ…もしかしたら飛鳥も…って期待するだろ)
(あぁー!俺らしくない!)
普段は思った事をすぐ伝え行動に移すのだが飛鳥に対してはそう出来ない
そうして行動して飛鳥が離れてしまうのではないかと…
飛鳥が嬉しそうに反物を持つのを見て、ひょいとそれを取る。
反対の手を飛鳥の前に出し
『ほら』
手を繋ぐ
照れながら手を繋ぐ飛鳥が愛おしい