第1章 Important person〜日常
ある日の朝餉の時間
いつもの様に広間で武将達と朝餉を食べていると
『飛鳥朝餉が終わったら天守に来い』
信長様にそう言われると、世話役の仕事だと察し
「はい!わかりました」
と返事をする。
食べ終わり身支度を整えに部屋へ戻る。
(今日は時間が空いたら城下町に反物を見にいきたいなぁ。
せっかくだから甘味も食べたいしなぁ。)
そんな事を思いながら天守に向かう途中光秀さんに会う。
『朝からその間抜面を見るとはな』
クックックッと笑いながら飛鳥の頭をワシャっと撫でる。
「光秀さん!朝からからかわないでください!」
もう慣れたが、光秀さんはいつも私をからかう。
密の命を受けてるらしく城にいない事もしばしば。
『して飛鳥、どこへ行く?』
「ん?信長様に天守に来いって言われたの」
『そうか。階段で転ぶなよ』
クックックッとまた笑いながら何処かへ行ってしまった。
なんだかんだ言いながら皆んな飛鳥の事を気にかけてくれている。
襖をトントンと叩く
「飛鳥です」
『入れ』
部屋に入ると机に向かって何かを書いている信長様がチラッとこちらを見て、また机に向かいながら
『少し待て』
「はい」
サラサラ達筆に何かを書いている信長様を見ながら
(綺麗な横顔…)
うっとり見てると
『何を呆けておる』
ハッとして前を見ると文を手にニヤッと笑いながら
『ワシをそんなに見ても金平糖はやらんぞ』
と、キレイな瓶から金平糖を1つ口の中に放った。
「いえっ!金平糖が欲しいわけではないです!えっと…この文は誰のところへ?」
そう言って文を受け取ると
『秀吉の御殿へ持って行け。その後は好きにするがよい』
秀吉さんの御殿は城からそう遠くない
「はい!では終わったら城下町に行って来てもいいですか?」
そう言うと布袋を手渡される。
中を見るとお金が入っている。
『これで好きな物を買って来い。』
飛鳥はふにゃっと笑いながら
「ありがとうございます!行ってきますね!」
と、意気揚々と天守を出て行った
『腑抜けた顔だ…』
と小さく微笑みながら信長は机にむかった。