第58章 花魁ノ舞
『後で…』
飛鳥にこっそり呟く花織にコクリと頷く飛鳥
宴が始まりお酒を飲みながら芸を見たり、飛鳥には到底経験出来ない事をさせてもらう。
「皆さん綺麗ですね…踊りも上手だし…羨ましい…」
ボソッと呟く飛鳥の声が政宗に届く
『飛鳥も十分可愛いじゃねぇーか』
「いやいや!花織さん達に比べられる訳無いよ…私じゃ歯が立たないって…」
ぽぉっとした顔で遊女を見る飛鳥
政宗達にはその顔は遊女よりも妖艶だ…
『あら…お酒が…』
花織が席を立つと襖から周りに見えない様に飛鳥を手招きする
「あっ、私ちょっと」
そっと席を立ち部屋を出た。
『女将から聞いておりますえ…こちらへ』
「ありがとうございます。」
花織に連れられて部屋に入ると綺麗な花魁の着物と花織付きの新造の人が数人。
飛鳥を取り囲み化粧や着替えを手伝う。
『ほぅ…よろしおす』
花織も驚くほどその姿は妖艶になる。
新造達も息をつく…
「別人みたい…」
鏡に映る自分は別人の様で見入ってしまう。
部屋で待つ信長達。
まさか飛鳥が花魁姿で来るとは思わず、戻らない花織と飛鳥を心配する。
『飛鳥はどこ行ったんだ?あれ程離れるなって…』
ブツブツ言いながら酒を飲む秀吉
『大方迷子にでもなってるのか?』
政宗も少し心配になり探しに行こうと立ち上がると、襖が開き花織が戻る。
その後ろには花魁姿の飛鳥。
持ってた徳利が畳に落ち口をパクパクさせる家康。
秀吉は顔を赤くして瞬きを忘れる。
政宗も立ち尽くしたまま飛鳥を見つめる。
『飛鳥か…良いな』
隣に座った花織にお酌されながら微笑む信長。
「花織さんが着替えさせてくれたんです…どうですか?」