第58章 花魁ノ舞
((さすが…手強い…))
皆思う事は同じ。
『御屋形様っ、そろそろ…』
声の裏返る秀吉が花街へと促す。
「っ、いっ、行きましょう!」
頬を染めたままの飛鳥が慌てて部屋を出ると信長が後を追うように部屋を出る。
秀吉達もそれに遅れを取らぬよう部屋から出た。
『行ってらっしゃいませ』
武将達が外に出た後、深々と頭下げる女将さんに声をかける
「行ってきます!」
『お話通しておきましたので…楽しんでいらして下さい』
ふにゃと笑って頭を下げると飛鳥も後を追った。
脚を一歩踏み入れると…まるで現代の繁華街の様に煌びやかで、着飾った遊女が両方のお店の中から手招きをしている。
男の人は皆キョロキョロ店の中を見渡し好みの遊女を探す…
色気のある遊女が猫なで声でお客に声をかける。
「うわぁ…」
思わず立ち尽くす飛鳥。
家康がそっと手を取り後ろ手に飛鳥を連れてく
『あんた…ここだと目立つから』
男ばかりの道に周りから見たら遊女かの様な顔立ちの飛鳥がいれば、いやでも目が行く…
その後ろを政宗が付き横には秀吉。
『ちゃんと後ろ守ってるからな』
『離れるんじゃないぞ?』
「うっ、うん」
間違いなく場違いな飛鳥を取り込みながら店に入る。
『おいでやす』
挨拶され部屋に通されると、やっと肩の力が抜ける
「はぁ…ドキドキした…」
胸をさする飛鳥に家康が呆れた顔で呟く。
『だから言ったでしょ』
苦笑いをする飛鳥だが、落ち着くとワクワクして仕方がない
「もうすぐ来るかなぁ…いつもここなんですか?」
『あぁ…女子を連れて来るのは初めてだがな…』
隣に座る飛鳥を面白そうに眺める信長。
しばらくすると遊女が部屋に入ってくる。
『おいでやす。信長様』
『花織』
花織と呼ばれた花魁が入って来ると、後ろから綺麗な遊女が何人か入ってきて、それぞれ武将の横に座る。
『花織、久しいな…飛鳥』
「あっ、今日はお邪魔します!飛鳥です!」
信長に促されて慌てて挨拶をする飛鳥。
『あら、可愛らしいお嬢さんね…』
ニッコリ笑った顔も色気たっぷりで目眩がするほど…