第58章 花魁ノ舞
『飛鳥は魅力あるぞ?自覚してないのかよ。』
「ある訳ないでしょ?そんな綺麗でもないんだしー!」
政宗が素直に言っても聞き入れようとはしない…
『めんどくさ…』
ボソッと言った家康の声も聞こえぬまま飛鳥は浮き足立っていた…
京へ着き一旦宿に向かう
『俺達は出るから飛鳥は大人しく待ってるんだぞ?わかったな?』
秀吉が口すっぱく注意をしても、ソワソワする飛鳥
『飛鳥?聞いてるのか?』
秀吉に両頬を摘まれてやっと声が出る
「ふん…わはってふ!」
離された頬をさすりながら飛鳥が呟くと信長達は政務へ行ってしまう。
「夜まで一人かぁ…町にも出ちゃ行けないっていうし…」
部屋で暇を持て余す飛鳥の所に女将さんがお茶を淹れに来てくれる
『いらっしゃいませ飛鳥様』
当然名前を呼ばれ驚く飛鳥
「あっ、こんにちは。なぜ私の名前を?」
『はい、秀吉様からお聞きしまして…飛鳥様が宿から出られないので、お相手を…』
心配性の秀吉が見張り兼話し相手に選んだのは女将さん
「あぁ…なるほど!きっと心配で、女将さんに声かけたんですね?すいません…」
『いえ…織田家ゆかりの姫君様のお相手を出来るなど光栄でございます』
深々と頭を下げる女将に慌てた声をかける
「あのっ、頭を上げてください!お仕事中なのにすいません…でも話し相手になっていただけると嬉しいです!」
暇を持て余してた飛鳥にとって、女将は救世主だった。
お茶を飲みながら、今日行く花街の話を聞く
「あの、今日花街へ連れてってもらうんですけど、どれだけ華やかな町なんですか?」
『花街ですか…女子が行くところではないですがね…』
少し悲しそうな顔をした女将はポツリポツリ話し出す
『花街は売られた女子が働く町です。身請けされなければ生涯出る事はできません…仕事は旦那様のお相手をする事。お酌だったり、話し相手だったり…人によりけりです。飛鳥様が行かれるのであれば、お酌とお話、舞をお見せする辺りですかね…』
「そうですか…舞だけは習った事があります…皆さんお上手なんでしょうね…」