第6章 Important person〜葛藤
『はぁはぁ…まただ…また出るぞ…』
「っ…!嫌っ!」
布団から飛び起きる
毎日悪夢で目が醒める
(また…もう…疲れた…)
あの日から夢の中で繰り返される忌々しい出来事に日増しに飛鳥は消耗していった。
もう何回見ただろう…
今日もあの夢で目覚める
外を見ると空が白み始めていた
飛鳥は起き上がり裸足で庭に出る
池のほとりまできて足を止める
(この世から居なくなればこの悪夢からも抜け出せるのかな…皆んなに心配かけるのも、もう嫌だ…こんな汚い身体でここにいれるはずもない…未来にだって帰れない…)
そう思い虚ろな目で空を見ながら右手を左手に当てる
右手には剃刀
一粒の涙が頬を伝う
(もぉ…疲れた…終わりにしよう…みんなごめんね…)
目を瞑りグッと右手に力を入れた