第6章 Important person〜葛藤
バシッ!
「っ…!」
手を叩かれ剃刀が足元に落ちる
見上げると怒っているような…悲しんでいるような…そんな表情をした信長がいた
『飛鳥…貴様何をしている…』
信長は毎日飛鳥が眠っている朝方様子を見に部屋を訪れていた。
今日も飛鳥の部屋に行くと襖が開かれており中に飛鳥はいない…
ふと外を見ると飛鳥の手に剃刀が握られてるのを見て慌ててそれを弾いた
表現がなかった飛鳥を抱き締めた
『貴様はワシのものだろう。勝手に命を落とす事はならん!』
飛鳥は信長の腕の中であの日から封印していた感情を吐き出す
「あっ…あぁ…うわぁぁぁぁ…!」
子供のように泣きじゃくる
しばらく泣く飛鳥を抱きしめ背中を撫り落ち着かせると横抱きにし部屋へ連れて行く
そっと褥に寝かせると頬を撫でながら
『貴様は汚れてはいない。飛鳥…貴様の居場所はここだ。皆もそう思っておる…ここにいろ…』
信長優しい声色、撫でる手に感情を取り戻しながら
「私は…汚れました…それでも皆さんのお側に…居てもいいのですか…?」
そっと微笑み信長は袖から金平糖の瓶を出す
一粒取り、飛鳥の口に放り込む
『これは特別だぞ?秀吉には内緒だ』
いつものように接してくれる信長に飛鳥はまた涙がこぼれた。