第50章 夢幻〜政宗〜
『飛鳥?』
部屋を覗くとちょこんと座ってお針子の仕事をしてる飛鳥。
「政宗!」
部屋に入る政宗に、ニコニコしながら笑う飛鳥。
『準備できてるか?』
「うん!」
お針箱を片付けて立ち上がると、飛鳥が指を絡めてくる。
『行くぞ』
そう言って城を後にする。
御殿に着くと向こうから照月が駆けてきて、
両手を広げた飛鳥に飛び込む
「照月!会いたかったー!」
飛鳥の腕の中でゴロゴロ言いながら甘える照月
『おい、お前のご主人様は俺だぞ?』
照月を睨むも動じず飛鳥に擦り寄る
「ふふっ、照月も寂しく思ってくれてたの?」
ニコニコしながら照月を撫でる飛鳥。
その後ろからぎゅっと抱きしめる。
「政宗?」
腕の中の飛鳥が振り返ろうとするのを制して、首筋に花を咲かす。
「んっ…」
身じろぐ飛鳥の耳が赤く染まっていく
『俺も寂しかったけど?』
今は顔を見られたくない。
かっこ悪すぎる。
照月が夕餉の匂いに釣られて飛び降りていく。
両手の空いた飛鳥の手が回してる腕に絡まる
「政宗…ごめんね」
『謝る事なんか何もねぇーだろ?』
飛鳥を振り向かせて口付けする。
そのまま深くして舌を絡めていく
「んっ…ふぁ…はぁ、ん…」
口付けの合間に飛鳥の吐息が聞こえて、止まらなくなる。
「ふ…まっ…て…はぁ、まさむ…んっ…ね」
名前をなんとか呼びながら、胸を叩かれ我に返る。
「はぁ…政宗…ダメだよ…」
真っ赤になる飛鳥が愛おしくてたまらない
『飛鳥が悪いんだろ?そんな声出すから』
ニヤっと笑って見つめるとふるふる首を横に振り恥ずかしそうに政宗の胸の中にうずくまる。
飛鳥と身体を重ねた事なんて何度もある。
だが、しばらく重ねなかっただけで、政宗の鼓動は速くなっている。
それは飛鳥も同じだった。
『夕餉食べるか…続きはその後な』
そう言って飛鳥の手を引き部屋へ入っていく。