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【イケメン戦国】誘惑の華

第48章 夢幻




城に戻った飛鳥は自室の褥の上に寝かされ、待機していた家康の治療を受ける

『飛鳥見て』

そう言われて見たのは自分の腕。

「っ…何これ…」

瘦せ細り骨だけの様になった腕。
今までの見えなかった現実。

『城下で転んだ傷も治ってないし、悪化してる』

普通なら治ってる傷も確かに悪化していた。

『今日から…ちゃんと治して』

手当てを終えた家康が部屋を出て行く。



大和に会っていた間の記憶はしっかりと残っている。
なんで自分の姿に気付かなかったのか、わからなかったけど…

きっと毎晩見ていた夢は、私が生きるタイムリミット。
今日大和といつも通り過ごしていたら、今ここに居ないと思う。

後は…本当の大和からの警告。
現実から逃避させない為の…
あの夢の続きは…辛いものでしかないから。

『飛鳥』
「信長様…」

信長が褥の横に座る

『もう平気なのだな?』

凛とした声で問われる

「はい…大丈夫です。」

それだけ確認して部屋を出ようとする信長を引き止める

「信長様…お願いがあります。私を広間に連れてって頂けますか?皆んなを呼んでください」

飛鳥の体力は極限まで落ちており、もはや一人では歩けない。
今やっと起き上がってる状態。

『しばらく休んでからでも良いだろう』
「いえ!今がいいんです。」

無理を承知でお願いすると、観念した様に抱き上げてくれる。

どうにかしがみ付いて

「無理を言ってごめんなさい」

信長は何も言うなとばかりに微笑んでくれた。


秀吉達が広間に入ると、上座で信長にもたれかかったままの飛鳥

『っ!横になったなくちゃダメでしょ!』

家康が慌てて言うと、それを信長が手で制す。
渋々家康は座ると、そのやり取りを見ていた秀吉達も何も言わず座る。

『飛鳥から話がある。話し終わるまで口を噤め』

そう言って飛鳥の肩を支える信長

「集まって貰ってごめんなさい。大和の事を話したかったんです。」

皆んなが見つめる中飛鳥はゆっくり話し出す。

「皆んなには…大和とは恋仲った話してたと思うんだけど…未来で祝言の約束をしてた人なの…」

話すのが辛い…大和事をって事じゃなくて、身体が悲鳴をあげている。
でも…今話さないと、自分もまた未練が残るのは嫌…

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