第48章 夢幻
祈祷の声が弱々しくなる
【飛鳥…俺は…お前を裏切った…】
「裏切った…?大和が私を……あっ…」
何かを思い出す飛鳥。
その瞬間大和が薄くなり消えていく
「っ!大和…待って」
【飛鳥…大丈夫…一人じゃないだろ?】
一人じゃない…誰かに言われた…
「信長…様…」
【飛鳥…ありがとな…幸せになれ】
そう言って大和は消えてしまう…
飛鳥の目の前には俯きながら弱々しく何かを唱える祈祷師の姿…
「ひぃっ…!」
次の瞬間廃、民家に秀吉達が飛び込んでくる
『飛鳥!』
秀吉に抱きかかえられ外に連れ出される飛鳥
『貴様…覚悟はいいな』
そう言って切先を突きつけた。
光秀を見上げた祈祷師の顔は今までのソレとは違い、酷く老いていた。
力なく立ち上がる事も出来ない祈祷師
『三成』
信長に呼ばれ三成は連れてきた兵に祈祷師を捉えさせた。
『地下牢へ連れて行きます』
祈祷師の身包みを剥がし、手足を縛り口を塞ぐと三成は地下牢へ連れていく。
『政宗、飛鳥を城へ』
秀吉から政宗に渡された飛鳥は信長と政宗と城に急ぎ戻る。
秀吉と光秀は残りの兵と廃民家の後始末をする。
政宗に抱かれ馬上て揺れる飛鳥に
『戻ったか…飛鳥』
優しく微笑みながら呟く信長。
飛鳥は力なく頷き、その痩せ細った弱々しい身体をしっかりと政宗は抱きしめて城に戻った。