第48章 夢幻
大切…だった。
なんで…過去形なの?
別れたの?
「あのっ!ちょっと…散歩に出かけて来ます」
忘れていた事を思い出したい。
大和に会わなくちゃ!
慌てた立ち上がった飛鳥の腕を引き、腕の中に閉じ込める信長
『飛鳥…貴様は一人ではない。安土の皆がいる。恐れるな…』
何かを察した信長がそう告げる。
「はい…信長様…」
腕の中から飛び出して行った飛鳥が、視界から消えると
『秀吉、光秀、政宗、迎え。後から追う。』
『『はっ』』
隠れていた秀吉達が飛鳥の後を追う。
『家康、治療の用意を。三成、兵を連れ近くで待機しろ』
『『はっ』』
即座に指示をし信長も飛鳥の後を追った。
大和…
大和…!
一生懸命走ってるのに、全然前に進まない。
確かめなくちゃ!
なんでここに居るのか…
どうして離れてしまったのか…
本当に…大和なのか…
必死に城下まで走った。
夜明け前で町には誰も居ない
「大和…大和⁈どこ…」
辺りを見渡す
『飛鳥』
呼ばれた方を見れば、そこには大和
「大和!」
大和の腕の中に飛び込む
ふわっと抱きしめてくれて、その存在を確認する
『飛鳥…どうしたの?こんなに慌てて』
「大和…ここに居るよね?大和だよね?」
何故だかわからないけど不安が込み上げる。
『飛鳥…家に行こう?風邪を引くから』
飛鳥の問いには答えてくれず、手を引かれ廃民家まで歩く
民家に入ると大和の前に座って手を握る。
「大和…未来で私、なんで大和と離れたの?離れないって約束したのに…どうして離れ離れになったの?」
……
大和は答えてくれない。
「あの朝、いつもみたいに仕事に送り出して…それで…電話がなって…」
必死に思い出す。
『飛鳥…思い出さなくてもいい…』
「それで…急いで病院に行って…」
『飛鳥やめよう…』
「そこで…大和は寝ていて…」
…