第48章 夢幻
『祈祷師はあの廃民家に隠れてる。
飛鳥に特に触れる事無く目の前に座り祈祷を始め、終わると飛鳥が廃民家をでる。これを毎日…飛鳥が【大和】を見かけたと言った辺りから城下に出没しだしたと。』
光秀が続ける
『いくら調べても祈祷師の詳細がはっきり致しません。留まる町で姿を変えてるようです。安土では…祈祷師と。』
信長の表情が歪む。
『見てわかると思いますけど、飛鳥はどんどん痩せていってます。食事はきちんと取っているのにも関わらず。あのまま痩せていけば命の危険も…飛鳥は自分の体調に気付いていないようです。』
家康は医療の観点から報告する。
『書庫で祈祷師について調べてみたのですが、それぞれでやり方もバラバラです…。策に使う者もいれば、天候を当てる者。もちろん悪用する者も。飛鳥様のお側にいる祈祷師は…後者だと思われます。』
三成が祈祷師について話すと場が静まり返る。
『今朝飛鳥に会ったが、髪も艶が無くなってだいぶ痩せておった。余り時間は無さそうだな。
光秀、明日飛鳥が城下に下る時、跡をつけろ。
政宗、なるべく精のつくものを飛鳥に。
家康、傷の様子と称して診察を。
三成、情報を纏め策を。
秀吉、飛鳥が城におる間離れるでない。』
其々に指示を出し、解散する。
飛鳥は気付いていない。
いや、気付けないのだと思う。
毎日鏡を見ているが、飛鳥の目に自分はいつもの様に写る。
だが、実際は髪は艶がなくなりパサつき、寝不足でクマは濃くなり顔色はどんどん悪くなる。
食べているにも関わらず身体はやせ細っていき髑髏の様になり出してる。
寝不足だけではこうはならない。
間違いなく呪術にかかっているだろう。
しかし何故飛鳥に呪術が掛かっているのか。
祈祷師はひたすら飛鳥を廃民家に導く以外おかしな行動を起こしてない。
飛鳥にも祈祷するのみで、それ以外触れることもない。
飛鳥の異変に気づき出してから、何故飛鳥なのか…未だはっきりしない。
ただ痩せこけた飛鳥の顔は穏やかだった…。