第48章 夢幻
城に戻り朝餉を食べると部屋の前に秀吉が待っていた。
「秀吉さん…」
『話…聞かせてくれるか?』
頷いて部屋に招きお茶を淹れる。
『飛鳥…ここ最近眠れてないみたいだし、目の下にクマもあって顔色も悪い。昨日の事も光秀に聞いたが…怪我の原因は【大和】か?』
大和の名前にピクンと反応してしまう。
黙ってても何もならないのは飛鳥にもわかる。
ぽつりぽつりと話し出す。
「夢の中に…大和が出てきて、それで寝不足だったんです。大和とは未来にいた時に恋仲で…でも、昨日城下で見たんです。それで今朝城下に探しに行ったんです…。勝手に出てってごめんなさい。」
飛鳥と未来で恋仲だった男が安土にいる。
(未来から来たってことか?しかも飛鳥と恋仲って…)
『事情はわかった。まずはその脚だ。家康を呼んでくるから大人しくしてるんだぞ?』
飛鳥の頭を撫でで部屋を後にする。
(大和に会ったこと…話せなかった…。)
全て話せなかった飛鳥。
だが、なんとなく言わない方がいいと思っていた。
家康を呼びに行くと光秀と政宗もそこに居た。
『家康、飛鳥の脚腫れてる。また見てやってくれ』
そう言って座ると今までの経緯を聞いた政宗が
『話は聞いたが、飛鳥と話したんだろ?』
少しの沈黙の後
『大和は飛鳥が未来にいた時の恋仲の男だ。』
驚く家康達にさっき聞いた話した内容を伝える。
『では大和もたいむすりっぷして来たと言うのか?』
信じられない顔をして問う光秀
『恋仲だと?探しに来たってことか⁈』
政宗があからさまに不機嫌になる
『いや、わからない…探しに行ったとは聞いたが見つかったとは言ってない。多分似てる奴を見たんだとは思うが…』
俯きながら言う秀吉
『とりあえず俺は飛鳥の手当てに行こます』
家康が飛鳥の部屋に手当てに向かうと秀吉達も政務に戻る
『飛鳥脚見せて』
開け放たれた部屋の前で家康が言うと頷く。
見ると昨日より酷くなり腫れ上がって血も滲んでいる。
『はぁ…何してんのさ』
「家康…ごめんね…」
それだけ呟き、また下を向く。
それ以上問いただすのは辞めて、手当てをすると部屋を出る
(本当、顔色悪い)
家康も渋々政務に戻った。