第48章 夢幻
城に戻った光秀と飛鳥。
光秀に抱き上げられてすすり泣く飛鳥を見て、慌てて駆け寄る秀吉。
『廊下走らないのではないのか』
いつもの軽口を言う光秀だが顔は決して笑ってなく、ただひたすら抱き上げた飛鳥をポンポンと撫でながら秀吉に近づく。
『そんな事より!飛鳥どうしたんだ⁈』
着物は汚れすすり泣く飛鳥
『鼻緒が切れて転んだのだ。手当てしてやれ』
そう言って横抱きにしたまま秀吉に引き渡す。
秀吉に抱えられた飛鳥だか、顔を上げる事なく秀吉にしがみ付く。
飛鳥を秀吉に渡すと、そっと飛鳥の頭を撫で秀吉の横を過ぎる時
『後で来い』
秀吉にだけ聞こえるほどの声で呟くと行ってしまう。
(どういう事だ…)
光秀の言葉を考えるが、まずは飛鳥の手当て。
家康を呼ぶように告げて飛鳥を部屋まで運んだ。
家康が部屋に来るとすすり泣く飛鳥は手と膝、それと足の親指と人差し指の間から血を滲ませていた。
『何これ』
怪我を見ながら呟く家康に、飛鳥は答えず泣き続ける。
『光秀と城下に行ったらしくてな。鼻緒が切れて怪我をしたらしいんだ。』
わかってる情報を家康に伝えると、飛鳥の前に座り木箱から傷薬を取り手当てを始める。
『泣くほど痛かったの?』
そう問いかけても返事はない。
『痛かったんだな…』
秀吉が頭を撫でながら呟く横で、テキパキと手当てをする家康
『手と膝は傷が残ることはないよ。指の間は負担かかったみたいだから少し腫れると思う。しばらく草履穿かないで』
薬を箱にしまいながら伝える。
『飛鳥、少し席を外すから…すぐ戻る』
家康の肩を叩いて表に促すと、二人で部屋を出る。
『一体何があったんですか』
訝しげに聞く家康に
『いや…俺にもわからなくてな…光秀が何か知ってるらしい。これから行くが…』
『俺も行きます』
二人は光秀の部屋に急いだ