第48章 夢幻
『飛鳥?』
襖が開き入ってきたのは秀吉さん。
「あっ、おはようございます」
毎日の様に朝、声をかけて朝餉を一緒に食べる。
『朝餉に行くぞ?…ん?』
近づいてきて飛鳥の顎を掬う
「えっ?なっ、何?」
いきなり顔が近づくのにたじろいでいると
『飛鳥…クマが出来てる…眠れてないのか?』
そう言ってクマを指でなぞる
「あっ…うん…最近寝れなくて…」
『お針子の仕事が立て込んでるのか?』
心配そうに顔を覗き込まれると、あまりの近さに顔を背けてしまう
「そんな事ないよ!ただ眠れないだけだから…心配ないよ?」
そうか?と言って頭を撫ででくれると、ホッとする。
『あんまり無理するなよ?なんかあったらいつでも言えよ?』
「うん。ありがとう!朝餉食べに行こう!」
なるべく笑顔を作って秀吉と朝餉に向かった。
食事場に着くと政宗が台所に立っていた
「あれ?今日は政宗が作ったの?」
季節の野菜をふんだんに使っていて、膳の中は彩り豊かだ。
『おう!いい野菜が入ったって 聞いたから、飛鳥に美味いもの食わせたかったんでな』
「うわぁ…ありがとう!頂きます!」
寝不足だけど政宗が作ってくれるご飯は、キレイに食べきれるほど美味しい。
箸は進みあっという間に食べてしまった。
「あぁ美味しかった!政宗ご馳走様!」
残さず食べ切られた膳を見て、政宗は微笑む
『飛鳥はいつも美味そうに食べるし、残さないよな!』
「だって政宗の作った料理はどれも美味しいんだもん!毎日食べても飽きないよ!」
ニコニコしながら言う飛鳥の異変に政宗が気付く
『おい飛鳥、クマ出来てるじゃねぇか』
またも顔を覗き込まれる
「あのっ、大丈夫だよ!」
自分でもどんどん顔が赤くなっていくのがわかる
恥ずかしくなって挨拶もそこそこに急いで部屋に戻った
食事場に残された秀吉と政宗
『あのクマすげぇな…』
飛鳥の顔を思い出しながら呟く政宗に
『あぁ…寝不足のせいだろうな…顔色もあまり良くない』
寝不足の理由を知らない二人は首をかしげるしかなかった。
部屋に戻った飛鳥だが最近眠ると大和が夢に出てくる。
二人でいた時の光景が…