第48章 夢幻
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大和…
…どうして?
…なんで…
嫌だよ…
ねぇ…
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ガバっ!
褥から飛び起きた
「大和…」
まただ…
なんで今こんな夢見るの?
もう気持ちの整理はついてる筈なのに…
眠れなくなった飛鳥はそっと襖を開けて縁側に座る
外はまだ薄暗くて中庭の池には、その姿を隠し出した月が少しだけ映ってる
大和…
飛鳥がこの時代にくるずっと前…
現代でデザイナーの勉強をまだしていた頃。
大和とは友達の紹介で出逢った。
たくましくて、でも凄く優しくて…飛鳥が好きになるのにそんなに時間は掛からなかった。
勉強の合間にbarでバイトをする飛鳥の元に、大和はよく来てくれて次第に心を通わせる様になった。
大和の仕事は海保。海上保安官だ。
海の安全を守る仕事。
飛鳥も時折、訓練をしている大和に会いに足を運んだりしていた。
『飛鳥?』
その声にハッとして声のする方を見る
「信長様…」
声の主は信長。
あまり睡眠を多く取らない信長が、飛鳥の隣に腰掛ける。
『こんな時間にどうした』
淡々と話す声とは裏腹に信長は少しだけ微笑んだ。
「夢を見て…昔の夢を見たんです。それで寝れなくなりました…」
『昔?未来の夢か?』
そう尋ねてくる信長に頷く。
「もう、ずいぶん前の事なので気持ちの整理は付いていたはずなんですけどね…」
飛鳥も少しだけ微笑んで、また池に目線を向ける
『そうか…』
多くを聞いてこないのは信長様の優しさ…
『まだ肌寒い…しばらくしたら部屋へ戻るといい』
着ていた羽織を飛鳥に掛ける
「えっ…ダメです。信長様が風邪をひいてしまいます。」
羽織を返そうとする飛鳥を制し
『良い』
そう言って天守に向かい歩いて言ってしまう。
その後しばらく池を眺めて部屋に戻り、眠る事は出来そうにないから、着物に着替え考えないように掃除を始める。
飛鳥が掃除を終わらす頃、城の中も慌ただしくなってきた。